【江原 淳一郎】 アメリカのインフレ動向とFRBの判断基準

【江原 淳一郎】 アメリカのインフレ動向とFRBの判断基準

FRBは今年利上げ停止を検討する可能性があり、今後の金融政策には3つの決定要因があります。1.実際のインフレ状況、FRBは必ずしもむやみに2%のインフレ目標を堅持するとは限らず、インフレが2%に急速に戻ることを過度に強硬に要求すれば、必ずしも最適ではないことをよく理解しているが、依然としてインフレの動向を見て、トレンドがまだ上向きであれば間違いなく適切ではなく、この時点で利上げを継続することになります。

二は雇用で、これは実体経済の状況を反映しており、アメリカは必ず自身の雇用と経済成長の状況を測ってして金融政策を策定します。しかし、多くの人が非農業雇用データに注目しており、実際にはそのボラティリティは大きく、予測データをはるかに上回ったり、はるかに下回ったりとしても特に何かを意味する事はなく、このデータ自体は予測が難しいためです。

三は為替レート問題で、為替レートは利上げまたは利上げ停止の信号とみることができます。年初にドル指数が急速に下落したことは、アメリカ政府が望まないことであったため、FRBは再びタカ派の論調を解き放ちました。

実際上、様々なデータを複数の次元から理解することができ、利上げの根拠となるデータがあり、利上げ停止の根拠となるデータもあるが、FRBは選択的に利上げを継続しているのは、為替レートが考慮されていることを示しています。このため、為替レートの動向が今後の利上げの態勢を決めることになります

FRBタカ派に傾いた論調を解き放つことができたのは、雇用統計が予想を上回り、自身がソフトランディングする確率が高まり、そのためドル指数の安定など他の目標を金融政策でよりうまく達成できるようになったからです。経済データが良く、インフレの反落がそんなに速くなく、ドル指数がまた一定の下落をすれば、利上げの余地があることは間違いありません。